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柏野健三の教育姿勢と教材

柏野健三の教育姿勢と教材

所属する大学でどのような授業を展開するか。

  • 大学の学力ランクによっては、授業が成立しないと聞く大学もあるようである。しかし、それだからといって授業をしないわけにはいかない。私学の場合、教師は授業を担当するという条件で学校法人に雇用されているからである。
  • Fランク大学の教師は、当該大学を去って、他大学へ移籍するか、あるいは他の職業ないし自営の道を進むかの選択に迫られている。つまり、学習意欲のない学生を前にして多大のエネルギーを発揮して、疲労の極限に達するよりは、社会的に有為な他の生活手段を求めているからである。
  • 大多数の学生が、学習意欲を欠如し、騒然としている中で、授業を展開しなければならないのであるから、当然のことであろう。そのような状況の中で授業を展開するためには、授業のあり方を工夫しなければならなくなる。「知の伝達」は限りなくゼロに等しくなることを担当教師は知らされる。
  • しかし、忘れてならないことは、Fランク大学の学生はAランク大学の学生に比較して、本来的に能力がすべてにおいて低いわけではないとういうことである。彼らは、なぜFランク大学に不本意に入学せざるをえなかったのか。
  • 一言でいえば、それまでに良き教師に出会うことがなく、勉学の環境にも恵まれていなかったのであろう。騒音の中や勉学に理解のない親の下で、あるいは書籍に恵まれていない劣悪な環境の中で、順調な知的発達が望めないのは、私の経験から言っても明らかである。
  • それゆえ、学力底辺ランク大学(Fランク大学)の教師には相当な努力・工夫・忍耐が要求されることになる。学力は低くとも、学ぶ意欲が枯渇している学生ばかりではないことにFランク大学の苦悩がある。彼らの処遇をどうすべきか。そしてまた聞く耳を持たない学生にどのように教授するか。この問いに対する明確な答えはない。まさしく、思考錯誤の連続であろう。
  • そこで、重要なのは、授業のあり方に対する教師の理念である。教師は社会と国家の負託に応えなければならない。
  • 研究と教育は別物と信じて疑わない著名な研究者もいると聞く。しかし、私は「優れた研究者は優れた教育者」であると信じて疑わない。研究内容が深化すればするほど、研究者は謙虚となり、学生に対するホスピタリティも深まってゆく。アリストテレスは優れた研究者であり、教育者でもあった。このような例は他にもあるであろう。
     
  • 以下は、社会福祉一般に対する理解促進のため、私が社会福祉学習用のテキストにそって作成した『社会福祉概論』の課題の一部である。私は、関係方面からどのような批判があろうとも、以下のような課題を授業の一環として授業中に作成させている。
  • 私の学生たちは、彼らの能力に従って課題を作成している。とにかく、彼らは課題を作成し、提出する。これは、褒めるべきであろう。1年次から「柏野式メソッド」に親しんだ学生は、とにかくテキストを読む習慣を身につけつつある。熱心に取り組めば、大いなる学習成果が期待できるが、ただテキストを転記するのみではその多大な効果には疑問があるといわなければならない。
  • しかし、教師の講義をひたすら聞くよりはましであろう。授業に参加したという充実感も味わうことができる。学ぶということは真似ることから始まると思うからである。以下は、私の学生たちに提出させた課題の一部である。半年で1科目につき100の課題について彼らは提出している。

【社会福祉を理解するための課題100選】その1

  1. 経済システムとしての資本主義社会の特徴について述べなさい。
  2. 市場原理について述べなさい。
  3. 社会福祉形成の前提について述べなさい。
  4. 市民社会成立の背景について述べなさい。
  5. 政治的文脈における社会福祉について述べなさい。
  6. 英国において「第三の道」が提唱された背景について述べなさい。
  7. 社会福祉の内容は、資本主義社会においてどのように規定されるのか。
  8. 1950年代の末に出版されたウィレンスキー(Wilensky, H.L.)とルボー(Lebeaux, C.N.)による『産業社会と社会福祉』の中で社会福祉事業の範囲を確定する要件として5つの基準が示されている。この基準を列挙しなさい。
  9. ティトマス(Titmuss, R.M.)は、上記の基準に加えてどのような要件を社会福祉事業の不可欠の要件としたか。これについて述べなさい。
  10. マーシャル(Marshall, T.H.)は、第二次世界大戦後の先進資本主義国家における国家体制の三つの柱にについてどのように考えていたか。これについて述べなさい。
  11. 民間福祉事業者はどのような事業主体を指すのか。これについて述べなさい。
  12. ウィレンスキーとルボーは、1950年代のアメリカ社会福祉をどのように分析したか。これについて述べなさい。
  13. 「残余的福祉モデル(residual welfare model)」について説明しなさい。
  14. 「制度的再分配モデル(institutional redistributive model)」について説明しなさい。
  15. 「産業的業績達成モデル(industrial achievement-performance model)」について説明しなさい。
  16. 朝日訴訟の争点について述べなさい。
  17. 大河内一男の社会政策論について述べなさい。
  18. 岡村重夫は、社会福祉をどのようにとらえていたか。これについて述べなさい。
  19. 考橋正一の社会事業論について述べなさい。
  20. 貨幣的ニーズ(monetary needs)と非貨幣的ニーズ(non-monetary needs)について説明しなさい。
  21. 平成9年における児童福祉法改正法における焦点は何であったか。これについて述べなさい。
  22. 平成11(1999)年10月に発足した地域福祉権利擁護事業(福祉サービス利用援助事業)の目的は何か。
  23. 平成12(2000)年5月に成立し、6月7日から部分的に実施された社会福祉事業法(現・社会福祉法)等の改正趣旨について述べなさい。
  24. 日常生活自立支援事業について述べなさい。
  25. 社会福祉基礎構造改革のなかで重要なことは何か。これについて述べなさい。
  26. 1601年のエリザベス救貧法(Elizabethan Poor Law)制定の社会的背景及びその基礎原則について述べなさい。
  27. 英国におけるスピーナムランド(Speenhamland)制度の制定の背景及びその内容について述べなさい。
  28. 英国における1832年に設立された王立救貧法委員会報告の骨子について説明しなさい。
  29. 英国における1834年の救貧法改正法の思想的背景について述べなさい。
  30. 1834年の救貧法改正法によって救貧制度はどのように変容したか。この点について説明しなさい。
  31. 英国における「友愛組合」誕生の背景、及びその発展について説明しなさい。
  32. ビスマルク(Bismarck, O)の「飴と鞭」の政策について説明しなさい。
  33. 1869年、英国における慈善組織協会(Charity Organization Society)創設の背景について述べなさい。
  34. チャールズ・ブース及びシーボーム・ラウントリィの貧困調査について説明しなさい。
  35. ジョセフ・チェンバレンは、地方行政長官の資格で何をしたか。これについて説明しなさい。
  36. ウィンストン・チャーチルは、失業対策に貢献した。その貢献の内容について説明しなさい。
  37. ソーシャル・セツルメント活動の歴史について述べなさい。
  38. 英国における1908年の老齢年金制度誕生の背景及びその内容について述べなさい。
  39. 1911年の国民保険法成立の背景及びその内容について述べなさい。
  40. 英国における1934年の失業法制定の背景及びその内容について述べなさい。
  41. ベヴァリッジ計画の中心的目的について述べなさい。
  42. 1942年に公表された『ベヴァリッジ報告』の骨子について述べなさい。
  43. 『シーボーム報告』はどのような改革を求めているか。これについて述べなさい。
  44. エルバーフェルト制度について述べなさい。
  45. ビスマルクの社会政策の内容について述べなさい。
  46. 恤救規則についてその制定の背景及び特色について述べなさい。
  47. 日本の「救護法」制定の背景について述べなさい。
  48. 日本における「米騒動」の社会的背景について述べなさい。
  49. 河上肇について述べなさい。
  50. 日本において感化救済事業が提唱された背景及びその特徴について述べなさい。
  51. 日本の1900年の感化法について述べなさい。
  52. 方面委員制度誕生の背景について述べなさい。
  53. 小沢一について述べなさい。
  54. 昭和7年1月から施行された救護法における被救護者の資格について述べなさい。
  55. 昭和21年2月の「社会救済に関する覚書」における基本原則について述べなさい。
  56. 日本における「旧生活保護法」と「新生活保護法」の相違点について説明しなさい。
  57. 高齢者保健推進十カ年戦略について述べなさい。
  58. 新自由主義について述べなさい。
  59. 産業革命(1760~1830)の影響について述べなさい。
  60. 社会改良政策について述べなさい。
  61. 公的扶助の支給において資力調査の持つ意味について述べなさい。
  62. ノーマライゼーション運動の歴史的発達について述べなさい。
  63. コミュニティ・ケアはなぜ提唱されるようになったのか。この背景について述べなさい。
  64. インフォームド・チョイスがなぜ必要なのか。この理由について述べなさい。
  65. 生活保護制度における職権主義について述べなさい。
  66. 生活保護制度における申請主義について述べなさい。
  67. アウトリーチ(outreach)活動の背景について述べなさい。
  68. 利用者主権とは何か。これについて説明しなさい。
  69. ソーシャル・インクルージョン(social inclusion)は、なぜ提唱されているのか。これについて説明しなさい。
  70. 説明責任とは何か。これについて説明しなさい。
  71. アメニティ(amenity)とは何か。これについて説明しなさい。
  72. アセスメント(assessment)について説明しなさい。
  73. エバリュエーション(evaluation)について説明しなさい。
  74. 民間非営利組織(NPO)が誕生した背景について述べなさい。
  75. 「繰り出し梯子の理論」とは何か。これについて説明しなさい。
  76. コミュニティ・オプティマム(community optimum)とは何か。これについて説明しなさい。
  77. リージョナル・ミニマム(regional minimum)とは何か。これについて説明しなさい。
  78. 英国においてナショナル・ミニマム(national minimum)が提唱された背景について述べなさい。
  79. 三位一体改革とは何か。これについて説明しなさい。
  80. 援助利用の方式を七つ列挙しなさい。
  81. 地域包括支援センター設立の背景について述べなさい。
  82. 苦情対応制度の基本となる考え方について述べなさい。
  83. 苦情対応制度で取り扱う苦情の範囲について述べなさい。
  84. 苦情対応の体制について述べなさい。
  85. 苦情申出人の範囲について述べなさい。
  86. 「福祉オンブズマン」の仕組みが日本に導入された背景について述べなさい。
  87. 第三者評価事業制度の概要について述べなさい。
  88. 民生委員・児童委員の機能について述べなさい。
  89. イギリスのタウンゼント(Townsend, P)の貧困概念とその指標について述べなさい。
  90. セン(Sen, A)は貧困をどのようにとらえているか。これについて述べなさい。
  91. ホームレスは日本政府においてどのようにとらえられているか。これについて述べなさい。
  92. 合計特殊出生率について述べなさい。
  93. 地域包括支援センターが制度化された理由について述べなさい。
  94. ホームヘルプサービス(訪問介護)について述べなさい。
  95. 老人保健施設について述べなさい。
  96. ケアプランについて述べなさい。
  97. ケアマネジメントについて述べなさい。
  98. 平成20年4月施行の「児童虐待防止法」及び「児童福祉法の一部を改正する法律」における児童虐待防止策の強化について述べなさい。
  99. 障害者基本法における「自閉症」について述べなさい。
  100. 精神障害の基本的症状について述べなさい。

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